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法律名『義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律』

「教育機会確保法」について



明治期にできた我が国の学校教育は、世界に誇る勤勉な国民をこれまで多く輩出してきました。特に、戦後の目まぐるしい高度成長は先人たちの努力の賜物です。

しかし今の時代においては、これまで通りのシステムの中で、学ぶ意義が見い出せず、学校で息苦しさを抱える子どもたちも少なくありません。

我が国では、現在44万人の子どもたちが学校になじめないでいると言われています。

少子化が加速する一方で不登校児童生徒が増加が続いているといった近年の教育課題のもと、2016年12月にこの法律は生まれました。フリースクール関係者、超党派議員連盟、保護者など多くの方々の尽力によって。

今、より子どもたちに合わせた方向で、この国の教育が変わろうとしていることは確かです。

それは、新しい学習指導要領や、各省庁で出された指針でも示される通りです。昨今、日本の学校教育変えるべきだと考える人が年々増えており、今でこそ社会の大多数を占めている節があります。全国の地方自治体での新たな実践、私立学校やオルタナティブスクールの新設など、各地で新しい動きが起こっています。我が国戦後最大の教育改革とも呼ばれている所以です。

​しかし、本当の意味で、子どもたちが、自分に合った教育、時代に合った教育を受けることができるのは、何年先になるのでしょうか。現在の小中学生の「今」に、「待った」はないのです。

この法律が施行されて3年目を迎えている今、小中学生とその保護者にとって、学校外の学びの場の重要性は、ますます高まってきています。

わたしたちの小さな学校での実践が、ご提案できることもあるかもしれません。わたしたちが教育の選択肢の一つになることで、救われる子どもたちや保護者の方がきっといるのではないかと思っております。

ここでは、教育機会確保法についてご紹介いたします。

この法律の存在と意義について、一人でも多くの皆さんと共有できたら幸いです。

 
オレンジの花

​​教育機会確保法

(文部科学省ホームページより)

 

目 的 

教育基本法及び児童の権利に関する条約等の趣旨にのっとり、

不登校児童生徒に対する教育機会の確保、

夜間等において授業を行う学校における就学機会の提供

その他の義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等を総合的に推進

基本理念


1  全児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう、学校における環境の確保
2  不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の状況に応じた必要な支援
3  不登校児童生徒が安心して教育を受けられるよう、学校における環境の整備
4  義務教育の段階の普通教育に相当する教育を十分に受けていない者の意思を尊重しつつ、年齢又は国籍等にかかわりなく、能力に応じた教育機会を確保するとともに、自立的に生きる基礎を培い、豊かな人生を送ることができるよう、教育水準を維持向上
5  国、地方公共団体、民間団体等の密接な連携
国の責務、地方公共団体の責務、財政上の措置等について規定

一  総則(第1条~第6条)

国及び地方公共団体は、以下の措置を講じ、又は講ずるよう努める
1  全児童生徒に対する学校における取組への支援に必要な措置
2  教職員、心理・福祉等の専門家等の関係者間での情報の共有の促進等に必要な措置
3  不登校特例校及び教育支援センターの整備並びにそれらにおける教育の充実等に必要な措置
4  学校以外の場における不登校児童生徒の学習活動、その心身の状況等の継続的な把握に必要な措置
5  学校以外の場での多様で適切な学習活動の重要性に鑑み、個々の休養の必要性を踏まえ、不登校児童生徒等に対する情報の提供等の支援に必要な措置

三 不登校児童生徒等に対する教育機会の確保等(第8条~第13条)

1  実態把握及び学習活動に対する支援の方法に関する調査研究等
2  国民の理解の増進
3  人材の確保等
4  教材の提供その他の学習の支援
5  学校生活上の困難を有する児童生徒等からの教育及び福祉をはじめとする各種相談に総合的に対応する体制の整備

五  教育機会の確保等に関するその他の施策(第16条~第20条)

目次
第一章  総則(第一条―第六条)
第二章  基本指針(第七条)
第三章  不登校児童生徒等に対する教育機会の確保等(第八条―第十三条)
第四章  夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供等(第十四条・第十五条)
第五章  教育機会の確保等に関するその他の施策(第十六条―第二十条) 
附則



第一章  総則

(目的)
第一条  この法律は、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)及び児童の権利に関する条約等の教育に関する条約の趣旨にのっとり、教育機会の確保等に関する施策に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、基本指針の策定その他の必要な事項を定めることにより、教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一  学校  学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部をいう。
二  児童生徒  学校教育法第十八条に規定する学齢児童又は学齢生徒をいう。
三  不登校児童生徒  相当の期間学校を欠席する児童生徒であって、学校における集団の生活に関する心理的な負担その他の事由のために就学が困難である状況として文部科学大臣が定める状況にあると認められるものをいう。
四  教育機会の確保等  不登校児童生徒に対する教育の機会の確保、夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供その他の義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保及び当該教育を十分に受けていない者に対する支援をいう。

(基本理念)
第三条  教育機会の確保等に関する施策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
一  全ての児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう、学校における環境の確保が図られるようにすること。
二  不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援が行われるようにすること。
三  不登校児童生徒が安心して教育を十分に受けられるよう、学校における環境の整備が図られるようにすること。
四  義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者の意思を十分に尊重しつつ、その年齢又は国籍その他の置かれている事情にかかわりなく、その能力に応じた教育を受ける機会が確保されるようにするとともに、その者が、その教育を通じて、社会において自立的に生きる基礎を培い、豊かな人生を送ることができるよう、その教育水準の維持向上が図られるようにすること。
五  国、地方公共団体、教育機会の確保等に関する活動を行う民間の団体その他の関係者の相互の密接な連携の下に行われるようにすること。

(国の責務)
第四条  国は、前条の基本理念にのっとり、教育機会の確保等に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)
第五条  地方公共団体は、第三条の基本理念にのっとり、教育機会の確保等に関する施策について、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(財政上の措置等)
第六条  国及び地方公共団体は、教育機会の確保等に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。



第二章  基本指針

第七条  文部科学大臣は、教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針(以下この条において「基本指針」という。)を定めるものとする。
2  基本指針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一  教育機会の確保等に関する基本的事項
二  不登校児童生徒等に対する教育機会の確保等に関する事項
三  夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供等に関する事項
四  その他教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進するために必要な事項
3  文部科学大臣は、基本指針を作成し、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、地方公共団体及び教育機会の確保等に関する活動を行う民間の団体その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
4  文部科学大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。



第三章  不登校児童生徒等に対する教育機会の確保等

(学校における取組への支援)
第八条  国及び地方公共団体は、全ての児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう、児童生徒と学校の教職員との信頼関係及び児童生徒相互の良好な関係の構築を図るための取組、児童生徒の置かれている環境その他の事情及びその意思を把握するための取組、学校生活上の困難を有する個々の児童生徒の状況に応じた支援その他の学校における取組を支援するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(支援の状況等に係る情報の共有の促進等)
第九条  国及び地方公共団体は、不登校児童生徒に対する適切な支援が組織的かつ継続的に行われることとなるよう、不登校児童生徒の状況及び不登校児童生徒に対する支援の状況に係る情報を学校の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者間で共有することを促進するために必要な措置その他の措置を講ずるものとする。

(特別の教育課程に基づく教育を行う学校の整備等)
第十条  国及び地方公共団体は、不登校児童生徒に対しその実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校の整備及び当該教育を行う学校における教育の充実のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(学習支援を行う教育施設の整備等)
第十一条  国及び地方公共団体は、不登校児童生徒の学習活動に対する支援を行う公立の教育施設の整備及び当該支援を行う公立の教育施設における教育の充実のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(学校以外の場における学習活動の状況等の継続的な把握)
第十二条  国及び地方公共団体は、不登校児童生徒が学校以外の場において行う学習活動の状況、不登校児童生徒の心身の状況その他の不登校児童生徒の状況を継続的に把握するために必要な措置を講ずるものとする。

(学校以外の場における学習活動等を行う不登校児童生徒に対する支援)
第十三条  国及び地方公共団体は、不登校児童生徒が学校以外の場において行う多様で適切な学習活動の重要性に鑑み、個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ、当該不登校児童生徒の状況に応じた学習活動が行われることとなるよう、当該不登校児童生徒及びその保護者(学校教育法第十六条に規定する保護者をいう。)に対する必要な情報の提供、助言その他の支援を行うために必要な措置を講ずるものとする。



第四章  夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供等

(就学の機会の提供等)
第十四条  地方公共団体は、学齢期を経過した者(その者の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから満十五歳に達した日の属する学年の終わりまでの期間を経過した者をいう。次条第二項第三号において同じ。)であって学校における就学の機会が提供されなかったもののうちにその機会の提供を希望する者が多く存在することを踏まえ、夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(協議会)
第十五条  都道府県及び当該都道府県の区域内の市町村は、前条に規定する就学の機会の提供その他の必要な措置に係る事務についての当該都道府県及び当該市町村の役割分担に関する事項の協議並びに当該事務の実施に係る連絡調整を行うための協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織することができる。
2  協議会は、次に掲げる者をもって構成する。
一  都道府県の知事及び教育委員会
二  当該都道府県の区域内の市町村の長及び教育委員会
三  学齢期を経過した者であって学校における就学の機会が提供されなかったもののうちその機会の提供を希望する者に対する支援活動を行う民間の団体その他の当該都道府県及び当該市町村が必要と認める者
3  協議会において協議が調った事項については、協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。
4  前三項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。



第五章  教育機会の確保等に関するその他の施策 

(調査研究等)
第十六条  国は、義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者の実態の把握に努めるとともに、その者の学習活動に対する支援の方法に関する調査研究並びにこれに関する情報の収集、整理、分析及び提供を行うものとする。

(国民の理解の増進)
第十七条  国及び地方公共団体は、広報活動等を通じて、教育機会の確保等に関する国民の理解を深めるよう必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(人材の確保等)
第十八条  国及び地方公共団体は、教育機会の確保等が専門的知識に基づき適切に行われるよう、学校の教職員その他の教育機会の確保等に携わる者の養成及び研修の充実を通じたこれらの者の資質の向上、教育機会の確保等に係る体制等の充実のための学校の教職員の配置、心理、福祉等に関する専門的知識を有する者であって教育相談に応じるものの確保その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(教材の提供その他の学習の支援)
第十九条  国及び地方公共団体は、義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者のうち中学校を卒業した者と同等以上の学力を修得することを希望する者に対して、教材の提供(通信の方法によるものを含む。)その他の学習の支援のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(相談体制の整備)
第二十条  国及び地方公共団体は、義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者及びこれらの者以外の者であって学校生活上の困難を有する児童生徒であるもの並びにこれらの者の家族からの教育及び福祉に関する相談をはじめとする各種の相談に総合的に応ずることができるようにするため、関係省庁相互間その他関係機関、学校及び民間の団体の間の連携の強化その他必要な体制の整備に努めるものとする。



 附則

(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して二月を経過した日から施行する。ただし、第四章の規定は、公布の日から施行する。

(検討)
2  政府は、速やかに、教育機会の確保等のために必要な経済的支援の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
3  政府は、義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、この法律の施行後三年以内にこの法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づき、教育機会の確保等の在り方の見直しを含め、必要な措置を講ずるものとする。
 
理由
教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進するため、教育機会の確保等に関する施策に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、基本指針の策定その他の必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

(以上全文)

義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案に対する附帯決議(平成28年11月18日  衆議院文部科学委員会)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。
 
一  本法に定める不登校児童生徒に対する支援に当たっては、全ての児童生徒に教育を受ける権利を保障する憲法のほか、教育基本法及び生存の確保を定める児童の権利に関する条約等の趣旨にのっとって、不登校の児童生徒やその保護者を追い詰めることのないよう配慮するとともに、児童生徒の意思を十分に尊重して支援が行われるよう配慮すること。

二  本法第二条第三号に定義された不登校児童生徒への支援、その他不登校に関する施策の実施に当たっては、不登校は学校生活その他の様々な要因によって生じるものであり、どの児童生徒にも起こり得るものであるとの視点に立って、不登校が当該児童生徒に起因するものと一般に受け取られないよう、また、不登校というだけで問題行動であると受け取られないよう配慮すること。

三  文部科学大臣は、本法第七条の基本指針の策定に当たっては、特に児童生徒や保護者、学校関係者などの当事者の意見を多面的に聴取しその意見を反映させるとともに、本法第三条第一号に掲げる基本理念にのっとり、多様な児童生徒を包摂し共生することのできる学校環境の実現を図ること。また、その学校環境の実現のために、教職員が児童生徒と向き合う時間を十分に確保できるよう、必要な措置を講ずること。

四  本法第八条の運用に当たっては、本法第十三条の趣旨も踏まえ、例えば、いじめから身を守るために一定期間休むことを認めるなど、児童生徒の状況に応じた支援を行うこと。

五  本法第三章に定める不登校児童生徒の環境や学習活動、支援などについての状況の把握、情報の共有に当たっては、家庭環境や学校生活におけるいじめ等の深刻な問題の把握に努めつつ、個人のプライバシーの保護に配慮して、原則として当該児童生徒や保護者の意思を尊重すること。

六  本法第十条に定める不登校特例校の整備に当たっては、営利を目的とする団体による設置・管理には慎重を期すこととし、過度に営利を目的として教育水準の低下を招くおそれがある場合には、これを認めないこと。また、不登校特例校や本法第十一条に定める学習支援施設の運用においては、本人の意思を尊重することが重要であり、不登校となった児童生徒が一般の学校・学級で学ぶ権利を損ねることのないようにすること。

七  本法第十四条に定める夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供その他の必要な措置により、就学の機会を希望する学齢超過者に対し、就学の機会が可及的速やかに提供されるよう、地方公共団体は、本法第十五条に定める協議会の全ての都道府県への設置に努めるとともに、政府は、地方公共団体に対して積極的な支援を行うこと。

八  夜間その他特別な時間において授業を行う学校の実態を踏まえ、教員の加配も含めた教職員の配置の拡充や教職員の研修の充実を図ること。

九  不登校の児童生徒が、いわゆるフリースクール等の学校以外の場において行う多様な学習活動に対しては、その負担の軽減のための経済的支援の在り方について検討し、その結果に基づき必要な財政上の措置を講ずること。

別添4 義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案に対する附帯決議(衆議院文部科学委員会)

義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案に対する附帯決議(平成28年12月6日  参議院文教科学委員会)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。
 
一  本法に定める不登校児童生徒に対する支援に当たっては、全ての児童生徒に教育を受ける権利を保障する憲法のほか、教育基本法及び児童の権利に関する条約等の趣旨にのっとり、不登校の児童生徒やその保護者を追い詰めることのないよう配慮するとともに、児童生徒の意思を十分に尊重して支援が行われるよう配慮すること。

二  本法第二条第三号に定義された不登校児童生徒への支援、その他不登校に関する施策の実施に当たっては、不登校は学校生活その他の様々な要因によって生じるものであり、どの児童生徒にも起こり得るものであるとの視点に立って、不登校が当該児童生徒に起因するものと一般に受け取られないよう、また、不登校というだけで問題行動であると受け取られないよう配慮すること。

三  文部科学大臣は、本法第七条の基本指針の策定に当たっては、特に児童生徒や保護者、学校関係者などの当事者の意見を多面的に聴取しその意見を反映させるとともに、本法第三条第一号に掲げる基本理念にのっとり、多様な児童生徒を包摂し共生することのできる学校環境の実現を図ること。また、その学校環境の実現のために、教職員が児童生徒と向き合う時間を十分に確保できるよう、必要な措置を講ずること。

四  本法第八条の運用に当たっては、本法第十三条の趣旨も踏まえ、例えば、いじめから身を守るために一定期間休むことを認めるなど、児童生徒の状況に応じた支援を行うこと。

五  本法第三章に定める不登校児童生徒の環境や学習活動、支援などについての状況の把握、情報の共有に当たっては、家庭環境や学校生活におけるいじめ等の深刻な問題の把握に努めつつ、個人のプライバシーの保護に配慮して、原則として当該児童生徒や保護者の意思を尊重すること。

六  本法第十条に定める不登校特例校の整備や第十九条に定める教材の提供その他の学習の支援に当たっては、営利を目的とする団体等によるものには慎重を期すこととし、教育水準の低下を招くおそれがある場合には、これを認めないこと。また、不登校特例校や本法第十一条に定める学習支援施設の運用に当たっては、本人や保護者の意思が最優先であるとの基本認識の下、本人や保護者の意見を聴取するなどし、不登校となった児童生徒が一般の学校・学級で学ぶ権利を損ねることのないようにすること。

七  本法第十四条に定める夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供その他の必要な措置により、就学の機会を希望する学齢超過者に対し、就学の機会が可及的速やかに提供されるよう、地方公共団体は、本法第十五条に定める協議会の全ての都道府県への設置に努めるとともに、政府は、地方公共団体に対して積極的な支援を行うこと。

八  夜間その他特別な時間において授業を行う学校が、不登校の生徒を受け入れる場合においても、様々な事情で義務教育を受けることができなかった学齢超過者等の教育を保障する役割を担っていることを今後も十分に尊重するとともに、その実態を踏まえ、教員の加配も含めた教職員の配置の拡充や教職員の研修の充実を図ること。また、その整備に当たっては、地域の実情を十分に考慮し、画一的なものとならないようにすること。

九  不登校の児童生徒が、いわゆるフリースクール等の学校以外の場において行う多様な学習活動に対しては、その負担の軽減のための経済的支援の在り方について検討し、その結果に基づき必要な財政上の措置を講ずること。

右決議する。

別添5 義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案に対する附帯決議(参議院文教科学委員会)

◇義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(法律第百五号)(文部科学省)

1  目的
この法律は、教育基本法及び児童の権利に関する条約等の教育に関する条約の趣旨にのっとり、教育機会の確保等に関する施策に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、基本指針の策定その他の必要な事項を定めることにより、教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進することを目的とすることとした。(第一条関係)

2  定義
この法律において、次に掲げる用語の意義は、それぞれに定めるところによることとした。(第二条関係)
(一)学校
     学校教育法第一条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部をいうこと。
(二)児童生徒
     学校教育法第一八条に規定する学齢児童又は学齢生徒をいうこと。
(三)不登校児童生徒
     相当の期間学校を欠席する児童生徒であって、学校における集団の生活に関する心理的な負担その他の事由のために就学が困難である状況として文部科学大臣が定める状況にあると認められるものを いうこと。
(四)教育機会の確保等
     不登校児童生徒に対する教育の機会の確保、夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供その他の義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保及び当該教育を十分に受けていない者に対する支援をいうこと。

3  基本理念
教育機会の確保等に関する施策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならないこととした。(第三条関係)
(一)全ての児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう、学校における環境の確保が図られるようにすること。
(二)不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援が行われるようにすること。
(三)不登校児童生徒が安心して教育を十分に受けられるよう、学校における環境の整備が図られるようにすること。
(四)義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者の意思を十分に尊重しつつ、その年齢又は国籍その他の置かれている事情にかかわりなく、その能力に応じた教育を受ける機会が確保されるようにするとともに、その者が、その教育を通じて、社会において自立的に生きる基礎を培い、豊かな人生を送ることができるよう、その教育水準の維持向上が図られるようにすること。
(五)国、地方公共団体、教育機会の確保等に関する活動を行う民間の団体その他の関係者の相互の密接な連携の下に行われるようにすること。

4  国及び地方公共団体の責務
(一)国は、基本理念にのっとり、教育機会の確保等に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有することとした。(第四条関係)
(二)地方公共団体は、基本理念にのっとり、教育機会の確保等に関する施策について、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有することとした。(第五条関係)

5  財政上の措置等
国及び地方公共団体は、教育機会の確保等に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとした。(第六条関係)

6  基本指針
文部科学大臣は、教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針を定めることとした。(第七条関係)

7  不登校児童生徒等に対する教育機会の確保等
(一)学校における取組への支援
     国及び地方公共団体は、児童生徒と学校の教職員との信頼関係及び児童生徒相互の良好な関係の構築を図るための取組、児童生徒の置かれている環境その他の事情及びその意思を把握するための取組、学校生活上の困難を有する個々の児童生徒の状況に応じた支援その他の学校における取組を支援するために必要な措置を講ずるよう努めるものとした。(第八条関係)
(二)支援の状況等に係る情報の共有の促進等
     国及び地方公共団体は、不登校児童生徒の状況及び不登校児童生徒に対する支援の状況に係る情報を学校の教職員、心理、福祉等に関する専門的知識を有する者その他の関係者間で共有することを促進するために必要な措置その他の措置を講ずるものとした。(第九条関係)
(三)特別の教育課程に基づく教育を行う学校の整備等
     国及び地方公共団体は、不登校児童生徒に対しその実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校の整備及び当該教育を行う学校における教育の充実のために必要な措置を講ずるよう努めるものとした。(第一〇条関係)
(四)学習支援を行う教育施設の整備等
     国及び地方公共団体は、不登校児童生徒の学習活動に対する支援を行う公立の教育施設の整備及び当該支援を行う公立の教育施設における教育の充実のために必要な措置を講ずるよう努めるものとした。(第一一条関係)
(五)学校以外の場における学習活動の状況等の継続的な把握
     国及び地方公共団体は、不登校児童生徒が学校以外の場において行う学習活動の状況、不登校児童生徒の心身の状況その他の不登校児童生徒の状況を継続的に把握するために必要な措置を講ずるものとした。(第一二条関係)
(六)学校以外の場における学習活動等を行う不登校児童生徒に対する支援
     国及び地方公共団体は、不登校児童生徒が学校以外の場において行う多様で適切な学習活動の重要性に鑑み、個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ、当該不登校児童生徒の状況に応じた学習活動が行われることとなるよう、当該不登校児童生徒及びその保護者に対する必要な情報の提供、助言その他の支援を行うために必要な措置を講ずるものとした。(第一三条関係)

8  夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供等
(一)就学の機会の提供等
     地方公共団体は、夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供その他の必要な措置を講ずるものとした。(第一四条関係)
(二)協議会
     都道府県及び当該都道府県の区域内の市町村は、一に規定する就学の機会の提供その他の必要な措置に係る事務についての当該都道府県及び当該市町村の役割分担に関する事項の協議並びに当該事務の実施に係る連絡調整を行うための協議会を組織することができることとした。(第一五条関係)

9  教育機会の確保等に関するその他の施策
(一)調査研究等
     国は、義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者の実態の把握に努めるとともに、その者の学習活動に対する支援の方法に関する調査研究並びにこれに関する情報の収 集、整理、分析及び提供を行うものとした。(第一六条関係)
(二)国民の理解の増進
     国及び地方公共団体は、広報活動等を通じて、教育機会の確保等に関する国民の理解を深めるよう必要な措置を講ずるよう努めるものとした。(第一七条関係)
(三)人材の確保等
     国及び地方公共団体は、学校の教職員その他の教育機会の確保等に携わる者の養成及び研修の充実を通じたこれらの者の資質の向上、教育機会の確保等に係る体制等の充実のための学校の教職員の配置、心理、福祉等に関する専門的知識を有する者であって教育相談に応じるものの確保その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとした。(第一八条関係)
(四)教材の提供その他の学習支援
     国及び地方公共団体は、義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者のうち中学校を卒業した者と同等以上の学力を修得することを希望する者に対して、教材の提供(通信の方法によるものを含む。)その他の学習の支援のために必要な措置を講ずるよう努めるものとした。(第一九条関係)
(五)相談体制の整備
     国及び地方公共団体は、関係省庁相互間その他関係機関、学校及び民間の団体の間の連携の強化その他必要な体制の整備に努めるものとした。(第二○条関係)

10  施行期日等
(一)検討
(1)  政府は、速やかに、教育機会の確保等のために必要な経済的支援の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとした。(附則第二項関係)
(2)  政府は、この法律の施行後三年以内にこの法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づき、教育機会の確保等の在り方の見直しを含め、必要な措置を講ずるものとした。(附則第三項関係)
(二)施行期日
    この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して二月を経過した日から施行することとした。

別添2 義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律のあらまし(平成28年12月14日付け官報)

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